おんなのこきらい

映画はレビューサイトにあげてたんですが、面白かった映画だけでもこちらに載せていこうと思います。

【おんなのこきらい/2014】


(80分)

監督・脚本

キャスト

あらすじ

OLキリコ(森川葵)は、かわいい食べ物を食べ過ぎては戻してしまう過食症女子。職場の男性陣にはもてはやされ女性陣からは嫌われているが、女性の価値はかわいいことだと信じて疑わない。そんなキリコはバーで勤務するユウトに好意を抱いていたが、彼とは友達以上恋人未満の中途半端な状態が続いており……。

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結局、誰も可愛いを知らない

「セブンティーン出身の森川葵主演で『可愛い』を描く」までくると、普通、女性向けPV映画を想像するのではないだろうか。本作も媒体によっては「可愛くて性格が悪い女の子が恋をして成長!」とか書かれかねない。

もちろんそういう話の展開がないわけではない。ただ、今作がそういう作品と一線を画すのは、徹底して、如実に『可愛いの欠陥』を掘っていくことにある。

「可愛いけれど性格が〜」の(記憶にも残らない)作品で描かれるのは『人間性』の欠陥の話。本作は『可愛い』の欠陥にスポットが当たることに面白さがある。

形容詞の意味がストレートに伝わるのはよく、「皆が知っているものだから」と思われている。楽しいも面白いも美味しいも、感情を想像できるし予想できるからと。それは間違ってもないし正解でもない。

ただ、それが完璧な回答にならないのは、楽しそう、美味しそう、面白そう、かわいそう、になるのが全てで。

そういう、得体の知れない、ポジティブだけどネガティヴな『可愛い』の特異性のタブーに切れ込んだ、実に邦画らしい体温の秀作。