ちはやふる 上の句

広瀬すずじゃないだろ!」と原作ファンから批判があがった『ちはやふる』、少なくとも映画としては完璧でした。原作者の大絶賛コメントも引用したので読んでみてください。

ちはやふる 上の句/2016】


(111分)

原作

監督・脚本

キャスト

あらすじ

同級生の千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は、いつも仲良く競技かるたを楽しんでいた。小学校卒業を機に彼らはバラバラになってしまうものの、千早は単独で競技かるたの腕を磨く。高校に進学した千早は再会を果たした太一と一緒に競技かるた部を立ち上げ、この世界に導いてくれた新を思いながら全国大会を目標とする。

原作者末次由紀さんからのコメント(公式サイトより)

初めて映画『ちはやふる-上の句-』の試写を見る前、ブルブルと木綿豆腐のように振動を全身に伝わらせていました。
なぜ震えるのか…それは私にはマンガのファンの皆さんへの責任があると思っているからです。
マンガを読んでくれている皆さんの愛情というのは格別で個別なものです。
マンガへの親しみの分だけ実写化に否定的な気持ちの人もいるでしょう。
しかし、マンガのファンの皆さんに伝えたいです。
完璧でした。素晴らしい作品になっていました。
“競技かるた”が表現できているか? という厳しい眼線にも十二分に応えられるものでした!
そして、何より面白かった。テンポがよく、キャラクターが愛らしく、呼吸までも大事にしてくださっている俳優の皆さんと、呼吸までも効果として操るスタッフの皆さん。
細胞が振動しているかのような和文様からスタートする『ちはやふる』は、新鮮で鮮烈で青春の眩しさと暗さが詰まっていました。
どなたにもおすすめしたい作品でした。
私は映像化して頂く時の運がいいな…幸せだな…と心から思います。
マンガを超えてきているのです…くやしいですが、幸せです。
私ももっと頑張ります。
映画『ちはやふる』を作り上げて下さったキャストの皆さん、スタッフの皆さんの素晴らしさに、尊敬が止まりません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【快作。早くも2016ベスト候補】

まさに『バクマン。』以降の原作ものという感じ。映画ならではの表現にこだわり、原作に映像ならでの解釈をもたらしてる。

そしてその映像表現で突きつけるのは勝負事の緊張感。そこに青春の残酷さを滲ますのがこの映画の特徴。「若さゆえ」の際立たせ方が上手い。

原作未読なので役柄のイメージの話はできないが、映画として話をするなら、キャスティングは完璧。それぞれのキャラが立ち、一点の曇りもない。

この映画が素晴らしいのは、技法として同じものと勘違いされやすい、緊迫感・緊張感・スピード感、という感覚をしっかり区分けし画面の中に共存させたこと。そしてその3つともがコンプレックスを描くために使われているということが面白い。

ギリギリの感情をズタズタに裂かれるからこそ、人は何かを見出そうとする。ニコニコしながら明るく楽しい一生懸命なんてない。ただ、この映画の救いはそこで見出す光は結局そこでしか得られないと思わすとこにある。超おすすめの部活映画。